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菅 木志雄 インタビュー トップ画像

2017年6月

第11回シェル美術賞 1等受賞作家

1944年、岩手県盛岡市生まれ。1968年多摩美術大学絵画科を卒業。在学中の1967年には第11回シェル美術賞1等を受賞。1968年の初個展から現在に至る50年以上のキャリアの中で、数多くの展覧会に出展してきました。近年の国内での大規模な個展として、2014年11月~2015年2月、ヴァンジ彫刻庭園美術館にて「菅木志雄展」、2015年1月~3月には東京都現代美術館にて「菅木志雄 置かれた潜在性」と、国内で2つの個展が同時期に開催され、大きな話題となりました。
国際的にも活躍の場を広げており、1978年には第38回ヴェネチア・ビエンナーレに出展。他「前衛芸術の日本」(ポンピドゥーセンター、パリ、1986年)、「戦後日本の前衛美術」(横浜美術館からニューヨークのグッゲンハイム美術館へ巡回、1994年)、「太陽へのレクイエム:もの派の美術」(ブラム&ポー、ロサンゼルス、2012年)等数々の展覧会に参加しています。さらに菅木志雄は2016年秋、イタリア、ミラノのファンデーションPirelli HangarBicoccaでの展覧会をはじめ、イギリス、スコットランド国立近代美術館でのカーラ・ブラックとの二人展、アメリカ、ニューヨークのDia: Chelseaでの個展と、欧米の美術館において連続して展覧会を開催しています。 その他2016年は、3月~6月中国・烏鎮のWuzhen International Contemporary Art Exhibitionでのグループ展7月~8月リオ・デ・ジャネイロのパソ・インペリアル美術館でのグループ展「コンテンポラリーの出現・日本の前衛美術 1950-1970」も開催し、今年は第57回ヴェネチア・ビエンナーレ国際展「VIVA ARTE VIVA」の出展作家として選出されるなど、その活躍は枚挙に暇がありません。
作品は、東京都現代美術館をはじめ多くの国内の美術館の他、イギリスのテート・モダン、ダラス美術館、M+、グッゲンハイム・アブダビ、グレーンストーン財団、スコットランド国立美術館、ピノーコレクションなどにも収蔵されています。2016年1月には、第57回(2015年度)毎日芸術賞を受賞致しました。

シェル美術賞に応募したきっかけや応募された作品について、その当時の菅さんの周辺や美術界のようすを教えてください。

学生の頃、日本の美術賞というとシェル美術賞がすごく有名でした。絵画にあまり没入していない僕が、絵画が中心であるシェル美術賞に応募できるのか悩みましたが、平面的な作品を制作することを考え、その結果、応募した作品のようになりました。これが、以後の僕のやり方において、一つのきっかけになったのではないかと思います。
応募した「Shadow Working」という作品は、影(シャドウ)という平面性に、立体的な遠近法を入れることを考えていて、影でも立体的な意識がとても強い作品です。影で立体的なパーツを付けることで、物体性が強くなり、影の物体というような感じになって、それはもう影とは全然異なるものだと僕は意識しています。
1等受賞は多摩美術大学の4年生のときで、修学旅行で京都に向かう途中で受賞の連絡を受けて、急遽バスを降り、引き返したんですよ。その当時、多摩美術大学、東京藝術大学、武蔵野美術大学などの美術系大学の学生同士の交流はとてもあって、お互いの制作の方向性について話したり、展覧会を開催したり、切磋琢磨で活動していました。シェル美術賞と並んで現代日本美術展という公募展もあり、学生の間でどの公募展に応募するかという話をよくしていました。

昭和シェル石油社内報 「シェルタイムズ Vol.17」

昭和シェル石油社内報
「シェルタイムズ Vol.17」
(1967年8月16日)

1等を受賞された前後での制作活動における変化や、受賞に関するエピソードをお聞かせください。

僕を含め美大の学生は、たいがいお金を持っていなくて、少しでも賞金のある公募展を見つけては、応募していました。1等受賞で賞金30万円をもらって、それで何とか生き抜くことができました。材料を買ったりして、制作活動に費やしました。

長く継続するという観点で、シェル美術賞は2016年に、創設60周年を迎えました。また、菅さんも現在まで、精力的に作品の制作を続けておられます。
「長く続けること」は素晴らしいこと、一方で根気が必要なことでもあると思いますが、現在までの長年の制作に対する想いや、姿勢など伺えますでしょうか。

菅 木志雄 写真

いったん始めたらとにかく最後までやる。
僕はアート以外に生きる術はないと思っているので、そうゆう覚悟を持ってやっています。1回や2回駄目でも続けるしかなくて、その結果として、時代性において何をやったらいいかとか、そうゆう考えが自分の中で次第に進展していくわけです。そこで、思考が止まるということはあり得なくて、どうゆうものをつくって、どうゆう風にやっていくか、一日一日変わっていきます。それが結局、生きていくということになるのですよね。僕にとって、その中心になっているのがアートだということです。
受賞後にも、もちろん作品を作っていますが、応募した作品と同じようなものは作っていません。いろいろと考え、それ以降は立体的な作品を主に制作しています。

小山登美夫ギャラリーでの個展や、2017年のヴェネチア・ビエンナーレに出品された新作について、意気込みをお聞かせください。

僕は制作することが仕事だから、どんな場所でもどんな状態でも作るということ以外にありませんし、作るとなればやはり新しいものが基本です。昔と今とでは考えがかなり異なりますが、根本的には、ものが主体になります。僕が作るという意味では同じです。
僕にとって場所は重要です。ヴェネチアという場所は特殊なアートエリアですから、どういった作品を出したらいいのか、場所との付き合い方は自分なりに考えています。今回のヴェネチア・ビエンナーレも多分上手くいくでしょう。

作品 状況律 ヴェネツィア・ビエンナーレ「VIVA ARTE VIVA」 展示風景写真 1 作品 状況律 ヴェネツィア・ビエンナーレ「VIVA ARTE VIVA」 展示風景写真 2

「状況律」第57回ヴェネツィア・ビエンナーレ「VIVA ARTE VIVA」(2017年5月13日(土)- 11月26日(日))
展示風景写真 photo by Tsuyoshi Sato

本年もシェル美術賞2017を実施する予定ですが、若手作家に向けてメッセージをお願いします。

とにかく、出したいやつは出す。出したくないやつは、出さなくてよろしい。
自分のレベルがどの程度なのかを知るには、応募したほうがいいんですよ。要するに「第三者の目に触れる」ということがアートの問題ですからね。仲間同士で集まって、良い悪いと言い合っても仕方のないことですよ。ですから、まったく関係のない人が作品を見たときに、どのように評価されるか、その厳しいところが若い人には必要でしょうね。美術というのは決して甘くない、崖っぷちに立っているようなものだからね。耐えられなかったら止めればいいし、異なる方向性でやりたいって思えば続けるように、自分を厳しいところで鍛えるのが重要でしょう。

展覧会情報

「分けられた指空性」

会期:2017年4月28日(金) - 6月10日(土)

会場:小山登美夫ギャラリー
http://tomiokoyamagallery.com/
〒106-0032 東京都港区六本木6-5-24 complex665 2F
03-6434-7225
11:00 - 19:00 日月祝休

作品 止潜 Halted Latency

止潜 Halted Latency, 2017
wood, acrylic h.188.5 x w.150.0 x d.10.5 cm
©Kishio Suga, Courtesy of Tomio Koyama Gallery